TECHNICAL DATE・FAQ

技術資料

CD方式スタッド溶接システム

CD(Capacitor Discharge)方式スタッド溶接システムは、独自の設計・性能を備えたコンデンサ群に蓄積されたエネルギーを利用した瞬間溶接システムで、薄板やデリケートな表面処理母材に対する溶接に適しており、他の溶接方法では不可能な特徴を持っています。

  • 瞬間溶接:1/1000秒台〜。瞬間的にスタッドと母材を溶融圧接が完了
  • 微少な熱影響:アーク熱/溶け込みが極めて少ないため母材溶接裏面の 歪み 変形 などがほとんどありません。
  • 同種異種金属の溶接が可能:軟鋼・ステンレス鋼・黄銅・銅・アルミニウムのスタッドを、同種または異種金属母材へ溶接が可能です。
  • 誰でも作業が可能:トリガースイッチを引くだけで自動的に溶接サイクルが作動する半自動溶接システムなので、均一に溶接ができます。

スタッド溶接機の接続図

スタッドの溶接方法

  • コンタクト方式

    あらかじめスタッド母材に圧接し放電、溶接する方法で、軟鋼・ステンレス鋼・黄銅・銅スタッドに適しています。

  • ギャップ方式

    スタッドを母材より離した位置から溶接サイクルをスタートさせることにより、加速が付き母材に接触、放電、溶接する方法で、アルミニウム鋼の溶接に適しています。また、細径スタッドの溶接にも有効です。

スタッドと母材の適合表

母材 スタッド(stud)
軟鋼 ステンレス鋼 黄銅 アルミニウム
一般構造用圧延鋼材SS ×
冷間圧延板鋼材SPCC ×
亜鉛鉄板 ×
ステンレス鋼板SUS304 ×
黄銅(真鍮)(鉛 含有なし) ×
アルミニウム1000番・5000番 × × × ×

溶接性;◎最適 ・ 適当 ・ △要調整 ・ ×不適当

スタッドと母材の溶接適合の「目安」です。実際の溶接可否につきましてはお問合せください。

CDスタッド荷重表

材質 スタッドねじ径 破壊荷重
引張(N) せん断(N) トルク(N・m)
MS(軟鋼) M3×0.5 2110 1266 1.3
M4×0.7 3785 2271 3.0
M5×0.8 5581 3348 5.6
M6×1.0 8197 4918 9.8
M8×1.25 15848 9509 24.1
M10×1.5 24128 14477 47.3
SUS(SUS304) M3×0.5 3092 1855 2.1
M4×0.7 5527 3316 4.4
M5×0.8 9304 5582 8.6
M6×1.0 12853 7712 15.9
M8×1.25 23865 14319 37.8
AL(A1050) M3×0.5 597 334 0.4
M4×0.7 1051 589 0.9
M5×0.8 1712 959 1.9
M6×1.0 2381 1333 2.6

注)CDスタッドの荷重を保証するものではありません。

注)荷重は母材材質・板厚等により異なります。事前にテストを行い確認してください。

注)実際の設計には、適切な安全率を考慮して下さい。

スタッドの位置決め

位置決め図

注)大きすぎるポンチ穴は、溶接不良の原因になります。

スタッドねじ径 ポンチ穴寸法(㎜)
ΦA B
M3 〜0.7 〜0.35
M4 〜0.8 〜0.40
M5 〜0.9 〜0.45
M6 〜1.0 〜0.50
M8 〜1.2 〜0.60
M10 〜1.4 〜0.70
M12 〜1.8 〜0.90

使用上の注意事項

  • 弊社機器の修理に関しましては、専門技術を要しますので必ず、弊社又は弊社代理店までご連絡をお願いいたします。
  • お客様による改造・部品の変更は思わぬ事故につながるおそれがありますので、絶対に行わないようお願いいたします。また、本来の用途以外でのご使用はしないでください。
  • 絶対に火気厳禁の場所で使用しないでください。また周辺に可燃物の無いことを確認後ご使用ください。火災及び爆発事故の原因になります。
  • ご使用の際は必ず保護メガネ・皮手袋等をご使用ください。
  • 使用しないときは必ず電源スイッチを切り、電源ケーブルのプラグをコンセントから抜いて下さい。
  • 濡れた手や、湿った衣服を身に着けた状態で溶接機に触れないで下さい。
  • 溶接機設置時は転倒や落下の恐れが無いように、堅固な場所に水平に設置してください。
  • 電源電圧は、各機器所定の定格値でご使用ください。定格値を超えると、発熱により火災や感電の恐れがあります。
  • その他詳細は、各機器に付属の取扱説明書をご覧下さい。

Q&A

故障と思われる症状が起こった場合、以下の症状をお確かめください。

[ 溶接機症状 ]
電源が入らない 電源ケーブルを正常に接続してください。
ガンスイッチを押しても起動しない アースを母材に正しくクランプしてください 。
ガンケーブルやコントロールケーブルが正しく接続されているか確認してください。
母材の表面に絶縁皮膜があると通電しません。
アースをクランプする箇所と溶接箇所の塗装や絶縁皮膜を除去してください。
ガンスイッチを入れていないのに起動する 近くで他の機械を同時使用している際、まれにノイズの影響を受けることがあります。
同じ母材に他溶接機のアースも取っている、または同じ定盤を併用している場合は単独でのご使用をお奨めします。
溶接したスタッドが外れてしまう。 適切な電圧設定になっているか、ご確認ください。
加圧設定・ポンチ穴サイズ・スケール付着・アース位置等も要因となりますので、お問合せください。